フランスで運転するときの心得
フランスで生活していると感じることの一つに、「車社会」だな、ということがあります。
2020年の数値で見ると、人口1000人当たりの車の台数は日本は624台、フランスは667台と、フランスの方が少し多いようです(ソースによって数値に違いがあるので、あまり参考にならないかもしれませんが・・)。
List of countries by vehicles per capita - Wikipedia
地方に住んでるからか、車がないと日々の買い物もしづらいです。また例えば農家の生産者が集まるイベントなど、車で来ることが前提の場所が会場だったりもします。
石油精製所 (raffinerie)のストライキで、フランスでは最近ガソリンやディーゼルを入れるための行列が各地で見られます。コロナ禍もそうですが、普通にできていたことができなくなると、その大切さが身に沁みるというか・・何かを学びますね。
自分がフランスで運転するようになったのも、必要にかられてなのですが、日本ではほぼペーパードライバーでした。それでも慣れれば意外となんとかなるという感じです。
そこで今回は、フランスで運転するときに気をつけていることを紹介したいと思います。
免許
日本の免許でフランスで運転するには、以下のものが必要です。
- 旅行者:「日本の免許」+「国外運転免許証」
- 長期滞在者(学生、ワーホリ以外):フランス到着から一年以内にフランスの免許に切り替え
- 学生、ワーホリのビザ所有者:フランスの免許には切り替えできないので、「日本の免許」+「そのフランス語訳(法定翻訳家に依頼するか、大使館/領事館で申請)」
フランスで運転する方法 | 在フランス日本国大使館- Ambassade du Japon en France
自動車運転免許証明(PERMIS DE CONDUIRE JAPONAIS) | 在フランス日本国大使館- Ambassade du Japon en France
交通ルール
交通ルールといっても、ここでは書ききれないので、大まかなところと、個人的に気になった部分を紹介します。
文字多めですが、大使館のHPでもルールを説明してくれているのを発見しました。こちらも参考にしてみてくださいね。
フランスの交通法規 | 在フランス日本国大使館- Ambassade du Japon en France
右側通行
ご存知の通り、フランスでは右側通行です。フランスに着いてしばらくは、助手席でもかなりの違和感を感じました。→ 慣れるしかないです。
道路
いつ手入れしているんだろうと疑問なのですが、アスファルトの道路は割と整備されている印象です。
道路の幅については、ここ車2台すれ違えるの?っていうくらいの道路も結構あります。それでもスピードを出して駆け抜けていく人も多いです。
小さな橋とか、すれ違えないところは、大体以下の2パターンで制御されています。
- 信号で交互に一方通行にしている
- 優先表示がされている(下記参照)
優先表示は下のようなパネルです。白の矢印が優先して通れるという意味なので、下の場合は「こちらが優先」という意味になります。向こうから来る車がちゃんと標識を見る人だったら、こちらが通り過ぎるまで止まってくれます。
当然かもしれませんが、「歩行者優先」です。円形交差点 (Rond Point)の手前など、横断歩道があるところは特に気をつけるのと、道路を横切る人も多いので、街中は要注意です。
高速道路
高速道路には、A1, A2といった名前がついています。下の青色のマークが目印です。
有料の場合は看板に「péage(料金所)」の文字があります。
日本では9割ほど普及しているETCカード、フランスではこのシステムをTélépéageといい、料金所ではオレンジ色の「t」の文字があるところで使えます。
速度制限
道によってちょこちょこと制限速度が切り替わるので、制限速度を自動的に読み込む機能がついている車だと便利です。
ルールをまとめてみました。
他にも、学校があるところなど、上のように30km規制が置かれています。
速度制限の看板に「RAPPEL」という文字が書いてあることがよくあります。
例えば上の看板だと、「ここは(すでに)90km/h制限です」という意味です。「再度警告しますよ」というニュアンス。逆にRAPPELの無い看板だと、「ここから先は90km/h制限」の意味になります。
日本ではあまり見かけないものに、速度を落とさせるために下の写真のように道路に凸部を作っていることもよくあります。
取り締まり
速度違反の取り締まりは、警察が陰で待ち構えていることもあれば、多くは取り締まり装置 (radar)で行われています。警察密着系のテレビ番組を見ていると、覆面警察の車も結構いるみたいです。
取り締まり装置には固定式と移動式とがあり、前者は上のような看板で予告されますが、後者は場所が変わります。装置があるという情報を共有するのに、ナビアプリのwazeや装置探知アプリのRadarbotが使われているようですが、一番は違反をしないことです・・。
いずれにせよ、制限速度ギリギリで走らないといけないわけではないので、無理しない方が良いです。例えば山道とか車通りの少ない道で後ろにくっついてくる車がいますが(いわゆる煽り?)、「後ろの車に迷惑だから速度上げよう」というのは考えない方が良いと思います。自分の安全運転の方に集中して、「抜かしたいならどうぞ」というくらいの方が落ち着いて運転できます。
追い越し
追越車線も日本と逆で、左側にあります。つまり車を追い抜くときは、(数少ない例外をのぞいて)その車の左側で追い抜くということ。これは割と徹底されている気がします。
道路に書かれている線が点線か実線かで、追い越し可能かがわかります。
円形交差点 (rond-point)
おそらくフランスで運転するときに一番最初に気づくであろう、円形交差点。信号がないので慣れれば便利ですが、混み合っている時はなかなか危険です。
反時計回りです。
上の図にある赤い逆三角形の看板は、「優先車が先なので注意」という意味です。ここでは、優先車は、「すでに円形交差点内にいる車」です。つまり、先に入っている車の進行を妨げてはいけません。
概ね、右に曲がったり真っ直ぐ進むときは、右側の車線を使い、左に曲がったり、来た道を反対に行くときは、左側の車線を使っています。
一瞬で判断しないといけないことが多いので、前や左から車が来ていないか、パッと判断します。ウインカーを出さない車も多いので、車の動きを見て判断します。
円形交差点から出る時に右にウインカーを出します。事故を防ぐにはこの意思表示が重要なので、周りがしていなくても、続けています。
パリには、進入車優先の円形交差点があるようです。
その他
人
車に乗ると攻撃性に輪がかかるのかもしれません。明らかに向こうが危険な運転をしているのに、ジェスチャーでののしってくる人もいます(土地柄にもよります…)。
衝突を避けるポイントは、呼吸をして平静を保つことです。イライラを他人にぶつける人はどこにでもいるので、反応するだけムダだと思っています。
また前にいる車がトロいなぁと思っても、イライラして抜かすのではなく、まずは追い越しできる道路かどうか確認して、追い越す時は見通しのよいところでするように心がけています。
フランスでは信号がない道も多く、車同士の微妙な動きで意思疎通がされていると感じます。手っ取り早くこちらができることは、例えばウィンカーを早めに出すことかなと思います。
駐車
フランスには駐車場が道端に作られていることも多いです。下の写真のように、Payant(有料)と地面に書かれているところは、駐車したら近くにある機械で駐車チケットを購入します。一定時間は無料時間があったり、曜日や時間帯によって無料になったりもします。
そして日本ではそこまでメジャーではない縦列駐車がフランスでは必須です(フランス語だとstationnement en créneau (en parallèle)など)。自動で駐車してくれるシステム (park assist機能)がある車もありますね。
上の動画を参考にしました。(画像は画面キャプチャーしたもの)
①右にウインカーを出して、停めたい場所の前の車の横に停車する(だいたい50cmくらいの距離)
②後席の窓の真ん中あたりに前の車の角が来るまで下がる。
③ハンドルを右に全開に回し、前席の窓の真ん中あたりに前の車の角が来るまで下がる。
④ハンドルを左に全開に回し、道路に並行になるまで下がる。
⑤ハンドルを中央に戻して、少し前に出して調整する
時々、キツキツに停めてくる人もいるので、ある程度前後はスペース取っておいた方が良いです。
タイヤ圧
意外と忘れがちなのが、「タイヤ圧 (pression des pneus)」です。圧が下がるとアラートが出る車もありますが、大体月に1回くらいは確認したほうが良いそうです。
電動のポンプ (gonfleur de pneus)はガソリンスタンドの一角にあって、無料で使えます。
圧の目安値は、運転席のドア付近(ドアを開けたところ)や給油口の内側にシールが貼ってあることが多いです。