Playtime

フランス生活で見聞きしたこと、感じたことを書いていきます

散歩がちょっと楽しくなる(かもしれない)フランスで見かける車について

2020年にコロナの影響で自宅から1km以内の外出制限がかかったことをきっかけに、それまでは歩くこともあまりなかった自宅の近くを散歩するようになりました。

散歩の時にちょっと楽しいなと思えることに、道端の車を観察することがあります。

日本にいた頃は車を持っておらずメーカーの違いなどについては無知だったのですが、フランスでは車がないと行けないところも多く、買いたいと思って調べているうちに、車を見るのが楽しくなってきました。

 

代表的なフランスの自動車メーカーとしては、ルノー (Renault)、シトロエン (Citroën)、プジョー (Peugeot)、DSがあります。

ちなみにDS (デ エス)はシトロエンの高級車という扱いでしたが、今は別個のブランドとして扱われているようです。なおプジョーとシトロエンとDSは今は同じグループ会社の傘下にあります。自動車界は世界規模でグループ化が進んでいるので、これを調べるのも結構楽しいです(航空会社のアライアンスに似たものを感じます)。

 

他にもフランスのメーカーには、アルピーヌ (Alpine)やブガッティ (Bugatti)がありますが、これらはフランスでもレアです。アルピーヌのスポーツカーは数回目撃したことがあります。ブガッティはイタリア風の名前ですがフランスメーカーらしいです。博物館以外ではブガッティの車は見たことがないです (ブガッティのChironというモデルはなんと350万ユーロ (4億5千万円くらい) するみたいです)。

フランスの街中で見る車は本当にバラエティに富んでいます。メーカーも様々なのですが、年代・モデルも入り混じっています。

ランキング

まず、フランスで売れている車メーカーのランキングを見てみます。

Source : 

http://www.fiches-auto.fr/articles-auto/l-auto-en-chiffres/s-1106-marques-auto-les-plus-vendues-en-france.php

フランスで2020年に売れた車メーカーのランキング:

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Marques automobiles les plus vendues en 2020

2019年のランキング:la même source

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Marques automobiles les plus vendues en 2019

2020年の結果と比べると、2020年の売上はコロナの影響か落ちていますが、テスラはほとんど変わっていません。

 

2008年から2019年までの累計 (年によって発表されていない数値があるようで、必ずしも正しくないようです):la même source

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Chiffres globaux de 2008 à 2019 inclus

シボレー (Cheverolet)はヨーロッパでの販売を終了したのと、Lanciaはイタリアのみでの販売になり、最近のランキングには入っていません。

 

ランキングを踏まえて、メーカーに対する個人的なイメージやよく見かける車について書いてみます。(写真は各メーカーのサイトからお借りしました。)

フランス車 🇫🇷 

フランスではフランス車がもっとも売れています。

 ルノー:ルノーは全体的に車両価格が安く手に入れやすくなっているので、一位というのも納得です。

小型のTwingoはこれまで3世代モデルが作られていますが、2007年まで作られていた初期のモデルもよく見ます。これより少し大きめのClioや、電気自動車のZoéも売れていますね。

SUVのCaptureはこれらに比べると見かける頻度は少ないように思います(ルノーでは、後述するDaciaも売られており、価格がCaptureより安いDaciaのSUVを買う人が多いのかなと想像しています)。

ルノーは車の名前が印象に残りやすいものが多いなぁと感じます。例えば他に見かけるものは、Scénic, Megane (最初見たときに眼鏡かと思いました), Espaceですね。

郵便局の黄色い車は、ルノーのKangooやシトロエンのBerlingoのようなバンが多いですね (このようなバンのことを ludique + monospaceからludospace と呼ぶようです)。

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Twingo

 プジョー:最近ロゴが新しくなりました(まだ広告でしか見たことがないですが)。シトロエンやDS、オペルなどとPSAというグループを作っています。2021年には、FCA(クライスラー、ジープ、フィアット、アルファロメオなどを含むグループ)とストランティスというグループを作りました。

どの年代の車種も古さを感じさせないデザインだと感じます。多くの車の名前が数字で表されるのですが、現在のモデルは一の位に世代を表す8がつきます(108, 208, 308, 508, 2008, 5008)。デザインをしていたGilles Vidal氏は今はルノーにいるようです(引き抜きでしょうか)。

2012年まで生産されていた206というモデルをいまだにかなり見ます。その中の206CC (Coupé cabriolet)というモデルはオープンカーになっており、トランク部分に5本の線が入ったデザインがスーツケースのように見えます。

プジョーはグッズが豊富ですね。胡椒や塩のミル (moulin) でも有名です。

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Peugeot 2008

 シトロエン:フロントデザインが細目で特徴的です。車のルーフ (フランス語だとtoitです)をボディカラーと別の色にしたり、サイドミラーにアクセントカラーを入れたりするのを割と早くから取り入れていたように思います。最近は車の横っ腹についているプロテクターを大きくしているモデルもよく見ます。丸っこくてハムスターみたいな形状の車が多い印象があります。

レトロ車として、2CV (deux chevaux)やDyaneに乗っている人もいます(電気自動車への改造を受け持っている工場もあるようです)。

オフィシャルサイトではこれまでのモデルの写真を見ることのできるオンライン博物館もあるので、気になった方はぜひ。

Citroën Origins - De 1919 à nos jours, découvrez les modèles d'exception qui font l'histoire de Citroën

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C3

 DS:ブルジョワ層が乗っているイメージがあります。ブランド自体が新しいのと、シトロエン時代はシトロエンと同じデザインを用いていたこともあってか、たくさん見るという印象はないです。最近のデザインはちょっとゴツい感じでしょうか。ゴールドとか、青緑のような変わった色もあります。

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DS 7 Crossback

ドイツ車 🇩🇪 

 フォルクスワーゲン (VW):特にPoloというモデルを見ます。どの車も、外観は無駄がなく飽きの来ないデザインになっているように思います。内装もシンプルですね。

フランスでもドイツ車の質には信頼があるようです。勝手な見解ですが、VWの車はAudiやBMWのように明らかに高価という訳ではないけれど、安くはない、でも相応の信頼感がある、という感じでしょうか。

ちなみにフランスだとどう発音するのか定まっていないようで、ドイツ語ぽく"フォルクスヴァーゲン"とか、Wだけドイツ式にして"ヴォルクスヴァーゲン"とか。VW (ヴェー・ドゥブルヴェ)も使うし、中にはVV (ヴェヴェ)とか言う人もいるようです。

 メルセデス:見た目よりも車体サイズ(特に車幅)が大きい印象です。エンブレムが大きいので、存在感があります。トランクが大きいモデルだと思いますが、メルセデスのタクシーに当たると乗り心地が良いのでラッキーと思います。(フランスではベンツと呼ばずにメルセデスと呼ぶことが多いのでそれに倣いました。)

 BMW:どちらかというと若い人が乗っているイメージがあります (playboy感があるというか・・)。電気自動車のi3という車種を見ると、なぜかエボルタくんを思い出してしまいます。

 アウディ:クーペ (フランス語のcoupéから来ています)タイプのような車高の低めの車のイメージがあります。SUV (Qシリーズ)は、他のメーカーに比べてあまり見ないですね。

 オペル:プジョーと同じグループです。オペルに関しては安価なドイツ車、くらいであまりイメージがないので、これから車種など知っていきたいです。

 ポルシェ:フランスに来て初めて車関連で驚いたのは、ポルシェがバンバン走っていることだったように思います。最近はSUVのカイエンを見かけることが多いです(ガマガエルみたいだと思ってしまいました)。フランスでは高速道路は概ね最高130キロまでなので、強力なモーターを積んだ車はどこでスピード出すんでしょうね。ドイツだと高速は速度制限がなかった気がします。

 スマート:メルセデスと一緒に売られています。これもフランスで見て衝撃を受けたもののうちの一つですね。というのも、本当に小さいんです。二人乗りで2,7mくらいの車なので、日本の軽自動車よりも60cmくらい短いようです。電気自動車だけというのも最初は驚きました。フランスは縦列駐車をすることが多いので、これくらい小さいと場所によっては前向駐車もできそうです。

イタリア車 🇮🇹 

 フィアット:小型車の500シリーズが特に人気です。メタリックカラーの多いフランスでは珍しいパステルカラーがあり、見ていて楽しいです。フィアット500をベースにしたアバルトという会社が作っている高級ラインの595は、コートダジュールでよく見る印象があります(意外と狭い道が多いのと、イタリアが近いからでしょうか)。

 アルファロメオ:ロゴの華麗さに負けない美しい車、というイメージです。赤が似合います。フロントのエンブレム周りは三角になっており、高貴な鳥(ワシとかでしょうか)を彷彿とさせます。

 フェラーリ:高速道路で颯爽と走っていく姿が見られることがありますが、レアです。モナコではたくさん見られます。

 マセラティ:黒やグレーといった落ち着いた色ばかりのイメージです。ウェブサイトではスポーツカータイプ以外は黄色などはないようです。

その他ヨーロッパ

 Dacia:4位のDaciaはルーマニアのメーカーですが、ルノー傘下=ルノーの店で売られているので、かなりの数を見かけます。SUVが流行っている中、さらに価格を抑えたこのメーカーだと大きめの車でも手に入りやすいのだと思います。

 シュコダ:チェコのメーカーで、VWの傘下にあります。フロントデザインはオリジナル感のあるものになっていて、なぜか見るたびに古代ギリシャあたりの兵士の鎧を思い浮かべるのですが、分かる人いないでしょうか・・(腰回りの羽根に似ているのかも)。おそらくVWの車のシャーシを使って作られているので、なんとなくデザインも似ていて、横顔だと間違えるかもしれません。エンジンの評価が高いと聞いたことがあります。

 セアト:スペインのメーカーで、こちらもVWの傘下にあります。シュコダとの棲み分けがどうなっているのか、気になるところです。セアトは前面のヘッドランプ (フランス語だとun phare)、後面のテールランプ (フランス語だとun feu arrièreだと思います)が三角形になっていて、エンブレムのSの切れ込み部分に合わせているのかなぁと思いながら観察していました。昼間点灯でランプのデザインも見た目に影響しますね。

 ボルボ:スウェーデンのメーカーです(現在の親会社はGeelyという中国の自動車会社です)。個人的にデザインがかっこいいと思います。現在フランスで売られているのはSUVがメインで、安全性の代わりに重量のせいで燃費が悪いというレビューを目にします(なんとなく、日本でいうとスバルのような立ち位置なのかなという印象)。

イギリス車 🇬🇧 

 MINI:BMW傘下にあります。それぞれの車種の中で、グレードはONE, COOPER, JOHN COOPER WORKSの順に上がっていくようです。新車だけでなく、中古市場でもすごく売れていると思います。というのも、ランキング以上に見かける頻度が高いと感じるからです。SUVのCountrymanは最初に見た時にMINIなのに大きい・・と思いました。

 ランドローバー:SUVブームで似ている車が増えていると感じているのですが、多くがランドローバーのデザインに寄せて行っているように思います。

 ジャガー:フロントに4つライトがあるS-typeというモデルで、深緑色をしている(内装はベージュ)、というのが自分の中のジャガーのイメージなのですが、それは10年以上も前に生産終了しているようです。今見かけるのはSUVですね。黒などの暗めの色が多いです。フロントのエンブレムはジャガーの顔になっています。

アメリカ車 🇺🇸 

 フォード:小型のモデルはたくさん見ますが、SUVはあまり見かけないです。フォード車に対してはあまりイメージがないので、これから調べてみたいです。

 ジープ:小型SUVのレネゲードをよく見ます。意外とポップな色よりも白が多いかもです。

 テスラ:着実に増えていますね。フランスでもまだまだ家にスタンドがないことが多い(特にアパートの駐車場であるところは珍しいと思います)ので、今後の伸びが気になるところです。

 シボレー:販売終了しているため、見かけることは稀です。

韓国車 🇰🇷 

 Kia:車両保証が7年というのが強みのようで、若い世代に売れている印象です(車両保証はメーカーによって大きく異なるようですが、どういう条件で保証されるのか気になります)。デザインとしてはアクセントカラーを取り入れたりしてポップなイメージを作ろうとしているのかなと思います。

 Hyundai:Hyundaiの車は、エンブレムを見ないとどこのメーカーかわからない車が多いような・・。VWグループにいたデザイナーが入っているようですね。

 SsangYong:サンヨンはこれまで知りませんでした。

日本車 🇯🇵 

 トヨタ:フランスでも売れていますね。ハイブリッド(いわゆるマイルドハイブリッドではなく本物のハイブリッド)で比較的価格が抑えられているのと、壊れにくいというイメージがあると思います。

よく見るのは日本でも人気のヤリスです。少し前のモデルですが、IQという全長3mくらい(小さい!)の車も見ます。

小型車のAYGOというモデルはフロントのデザインが歌舞伎の化粧のようで、最初見た時いい意味でびっくりしました。プジョーの108、シトロエンのC1と同じシャーシを使っている(チェコの同じ工場で作られている)のですが、108とC1は2021年末に生産を終了するようなので、AYGOがどうなるかも気になります。

SUVではC-HRと旧型のRAV4 (日本語ではラヴフォーというらしいですね。フランス語だと、ラフキャトルでしょうか。)ですね。C-HRはトランクが小さいというレビューを見ます。

 日産:ルノーと三菱との間にパートナーシップを結んでいます。カルロスゴーン氏の騒動の影響で若干新車を見る頻度が減った印象がありますが、それでも乗っている人は多いです。

Micra (日本でいうマーチ), JUKE, Qashqaiの3モデルをよく見ます。Micraはその名の通り全長3m70くらいの小型車でしたが、現行は4mほどになっています。

電気自動車のリーフはルノーのZoéに持っていかれた感があります。 

 スズキ:バイクに乗る人に有名だそうです。壊れにくい車メーカーの一つとして評価されています。

スイフトをよく見ます。ハンガリーにマジャールスズキという現地法人があり、欧州向けのスイフトはここで作られています。

日本では珍しいイグニスはフランスでも珍しい方です(日本で作られていて納期が遅くなるためではないかなぁと思っています)。

 マツダ:マツダはデザインに力を入れるようになって、日本車の中でニッチなところ (レクサスほど高価ではないけど、安くない価格帯の車)をうまく攻めている印象です。内装もかっこいいと思います。最近見かけることが増えたように感じます。

スポーツカーのMX-5も見ます (日本だとロードスターですね)。

 ホンダ:バイクが有名です。ラリー用の車両を見てからCivicが格好いいなと思っています。電気自動車のHonda eも個性的なデザインですね(店頭以外ではまだ見たことがないです)。

 三菱:時々、大きめの車を見ます。

 スバル:4WDということもあって、山で見ることはあります。雪が降るからでしょうか、スイスではたくさん見たことがあります。

 レクサス:壊れにくい信頼感が抜群にあると思います。フロントはデザインは好みが分かれるかも、と思っていましたが、実物を見ると意外と落ち着いた雰囲気だなぁと思います。

 

車を見ると、持ち主の価値観が外に現れているような気がして、なんでこのメーカーが売れているのかな、などと考えるのが楽しいです。

 

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