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フランス生活で見聞きしたこと、感じたことを書いていきます

友情とセクシュアリティと責任と(映画 CLOSE)

ベルギーの映画「CLOSE」を映画館で鑑賞しました。

©️ Menuet

親友のLéoとRémiの2人の少年は、いつも一緒だった。

中学生になり、Léoは周りの目を意識し始め、関係がぎくしゃくする・・。

予告編はこちら。

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タイトルのCloseには、固く結びついた友情 (amitié fusionnelle)と閉じこもること (enfermement)の二つの意味が込められています。

どの目線で観るかによって感じ方も全く変わるでしょうが、セクシュアリティについて悩んだことのある人にとって、この映画は胸がきゅっと締め付けられるような感覚を与えると思います。心苦しくて、泣いてしまいました。

Léoが他者との関係の中で、「男らしさ (masculinité)から外れる行動や感情」を封じ込めていかなくてはならなかった思春期の葛藤が、すごくよく描かれています。その見えない「圧力」のもとで自分を曲げなければならなかったとして、そこに「責任」を問えるのか、そんなことを考えました。

©️ Le Groupe Ouest

Lukas Dhont監督の長編映画の二作目です。映画には、自身の思春期の経験や感情が反映されているようです。

監督とたまたま電車で席が隣になり、キャスティングの話を持ちかけられたという、主役Léo役を演じたEden Dambrineは、演技の経験はなかったようですが、表情や目線、動きなど言葉以外の演技が求められる難しい役を演じ切っていて、素晴らしい俳優だと思います。

キャスティングには13人の少年がオーディションを受けたようで、Eden Dambrineと、Rémi役を演じたGustav De Waeleの2人はオーディション時にすぐに親しくなり、このペアが映画にぴったりだったと、監督がカンヌ映画祭の際のインタビューで語っています。

©️ Menuet

Lukas Dhont監督の一作目は、プロのバレエダンサーを目指すトランス少女を描いた「Girl」。(トラウマになる程)衝撃作だったので、また同じ監督の作品が見られて嬉しいです。

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ベルギー映画には、レアリストで、独特の物悲しい雰囲気の作品が多いように感じます。

ダルデンヌ兄弟の作品がまず挙げられます。

2022年に観た映画としては、Bouli Lannersが監督、主演を務めた「L'ombre d'un mensonge」も。

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