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フランス生活で見聞きしたこと、感じたことを書いていきます

ゴヤ再発見:映画 L'Ombre de Goya (Goya, Carrière & the Ghost of Buñuel)

ゴヤ、と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

自分は「マドリード、1808年5月3日」の銃殺の絵画が思い出されましたが、その人生についてはあまり知りませんでした。

今回紹介する映画「L'Ombre de Goya」は、自分のようにゴヤを深く知らない人とって、ゴヤを知るきっかけになると思います。(Ombreとは陰、幻影などを表す単語です)

Affiche ©️ Epicentre Films

予告編はこちら。

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フランシスコ・デ・ゴヤ Francisco de Goya (1746-1828)はスペインのアラゴン出身で、宮廷画家、つまり貴族からの依頼を受けて絵画を描く画家、として知られています。「ラス・メニーナス」などで有名なベラスケスもスペイン出身の宮廷画家でしたが、ベラスケスが活躍した時代はさらに100年も前になります。

ゴヤが40代で聴力を失ったということは、初めて知りました(自己免疫疾患や梅毒によるものと考えられているようです)。

この映画では、ゴヤが宮廷画家として描いた作品と、自身が目撃した貧しい人々や残酷なシーンを描いた作品を通じて、ゴヤがどのような眼差しを主題に向けていたか、ということに着目しています。

 

映画では、ジャン=クロード・カリエール (Jean-Claude Carrière)が、訪れたスペインでゴヤの作品について解説しています。

ジャン=クロード・カリエール ©️ Epicentre Films

フランス人のジャン=クロード・カリエールは、数々の映画のシナリオを手がけた脚本家で、2021年に亡くなりました。L'OBSによる紹介では、以下の映画が挙げられています。

  • Luis Bunuel「Belle de Jour(昼顔)」(1967)
  • Jacques Deray「Borsalino(ボルサリーノ)」(1970)
  • Luis Bunuel「Le charme discret de la bourgeoisie(ブルジョワジーの秘かな愉しみ)」(1972)
  • Volker Schlöndorff「Le Tambour(ブリキの太鼓)」(1979)
  • Daniel Vigne「Le Retour de Martin Guerre(マルタン・ゲールの帰還)」(1982)
  • Andrzej Wajda「Danton(ダントン)」(1983)
  • Philippe Garrel「Le Sel des larmes」(2020)

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本の執筆もされており、ジャック・タチの「Les Vacances de Monsieur Hulot(ぼくの叔父さんの休暇)」をノベライズした作品は、日本語訳で読んだことがあります。

ダライ・ラマへのインタビューを記した「La Force du bouddhisme」など、本当に幅広い興味を持っておられたんだと思います。

上の映画のリストにも挙がっている、カリエールの友人で一緒に仕事をしたLuis Bunuelは、ゴヤと同じくアラゴン出身の映画監督ということで、この映画の中でも何度か登場します。

 

着衣のマハ」「裸のマハ」や上記の「マドリード、1808年5月3日」などゴヤの代表的な作品だけでなく、多数の作品が取り上げられるので、美術が好きな方にはぜひおすすめしたいです。

裸のマハ ©️ Epicentre Films

マドリード、1808年5月3日 ©️ Epicentre Films

魔女たちの飛翔 ©️ Epicentre Films

映画を監督したJosé Luis Lopez-Linaresは、他にも「謎の天才画家ヒエロニムス・ボス」という映画を作っているので、また観てみたいと思います。

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